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K-POP公演、韓国離れで経済効果流出

2025/07/24 13:03
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概要

韓国発の世界的コンテンツ「K-POP」の公演が、今や韓国国内から海外、特に日本へと軸足を移しつつある。背景には、ソウルを中心とした大型コンサート会場の不足が深刻化している現実がある。さらに追い打ちをかけるように、ソウル蚕室(チャムシル)総合運動場の改修が本格化したことで、事実上「韓国で大規模K-POP公演を開くことができない」状況が続いている。

これにより、韓国国内に本来落ちるはずの観光・物販・宿泊・交通などの経済効果が海外に流出しており、文化産業としての国家的損失は深刻なレベルに達していると指摘されている。事実、近年では日本の東京ドーム、京セラドーム、さらには名古屋、福岡、札幌といった主要都市のアリーナが、韓国アーティストによるK-POPツアーの主戦場となりつつある。

会場不足がもたらす「韓国離れ」

韓国のK-POP業界は、世界規模で拡大を続けている一方で、国内におけるライブ公演の物理的なキャパシティが明らかに不足している。とりわけ首都圏では、5万人規模以上のスタジアム公演を実施できる施設は限られており、ソウル市内では蚕室総合運動場が唯一の選択肢だった。

しかし現在、2030年のアジア競技大会を見据えた再開発の一環として同運動場が全面的に改修中であり、数年単位で使用が不可能になっている。代替施設とされる高尺(コチョク)スカイドームやオリンピック公園体操競技場などは、収容人数が限られており、世界規模の人気を持つグループにとっては物理的にも、商業的にも対応しきれない。

このような背景から、興行収益の最大化とスケジュール確保を優先したマネジメント側は、よりインフラが整った日本や北米、東南アジアへと公演を移す決断を下すようになった。日本ではすでに、TWICE、BTS、SEVENTEEN、NewJeansなどが次々とドームツアーを実施し、各地で爆発的な経済効果を生み出している。

たとえば、SEVENTEENは2023年に東京、名古屋、大阪、福岡、埼玉を巡る5都市スタジアムツアーを開催し、わずか1ツアーで30万人超を動員。さらには「THE CITY」構想のもと、都市全体をK-POPで彩る街ぐるみのコンセプトツアーを展開。飲食や宿泊、観光と連動したイベント企画が行われ、文化的かつ経済的波及効果を最大化するモデルとして注目された。

さらに、年末恒例の大型音楽イベント「MAMA AWARDS」も、2023年・2024年と東京ドームで開催。韓国での開催が不可能な現状を象徴するように、こうした“象徴イベント”までが韓国外で定着しつつある。

海外に流出する経済効果と文化主導権

韓国産業通商資源部や文化体育観光部の報告によれば、1回のK-POPドーム公演がもたらす経済波及効果は約100億ウォン(約11億円)に達する。これにはチケット収入だけでなく、関連グッズ販売、宿泊・交通・飲食費、さらには周辺地域への観光支出が含まれる。これらがすべて国外で発生しているという事実は、単なる機会損失にとどまらず、韓国経済にとっては明確な損害となっている。

さらに注目すべきは、韓国が「K-POPの本拠地」としての存在感を薄めつつある点である。公演がすべて海外で行われるとなれば、国内のファンは物理的に“置き去り”となり、若年層を中心とした体験価値が減少する。K-POPが「韓国発」コンテンツであることの体感が薄れ、やがて“国際分業された商品”として捉えられるようになりかねない。

また、イベント運営、舞台技術、演出、制作関連の中小業者など、文化インフラを支えるローカル産業への打撃も深刻である。イベント制作のノウハウが韓国から外部へ移転され続ければ、今後は人材育成や技術開発の場としての韓国の地位すら危うくなる可能性がある。

特に地方中小都市で公演実績が積み上がらなければ、地域社会がK-POPという産業に接続される機会を失い、格差が拡大する恐れもある。観光業や交通インフラの整備に向けた民間投資の意欲も減退するリスクがあるため、文化コンテンツが経済のドライバーとなる循環自体が途切れる可能性すらある。

インフラ整備・政策連携の遅れと制度的課題

本来、韓国政府はK-POPを国家戦略産業と位置づけ、海外への輸出を推進してきた。だが国内公演インフラに対する投資は後手に回ってきた。特に、首都圏の再開発計画と文化産業政策の調整不足は顕著であり、都市整備とエンタメ産業の共存を前提とした総合戦略が欠如していた。

また、公演を行う際の行政手続きの煩雑さ、周辺住民との折衝負担、夜間開催制限、音響規制など、構造的な“ハードルの高さ”も事務所側からはたびたび問題視されてきた。結果として、事務所はリスクを避けるかたちで海外での開催に傾く。

対策としては、モバイル型の仮設会場整備、地方都市への大型アリーナ誘致、民間との官民連携による恒常的なライブインフラの整備などが検討されているが、具体化には至っていない。K-POPという巨大資産の国内消化力をどう再構築するかが、今まさに問われている。

また、ドームクラスの常設施設の新設には莫大な資金と年単位の計画が必要であり、目下の問題を解決するには至っていない。地域の都市計画や交通網との整合性も求められ、単なる建設計画ではなく、周辺地域を巻き込んだ総合ビジョンが不可欠となっている。

私の感想と考え

K-POPの世界的成功は、韓国が文化的“周縁”から“中心”へと躍進した象徴とも言える。しかし今、その中心地が物理的に機能不全に陥っているという現実は、極めて示唆的だ。つまり、いくらコンテンツが国際的に評価されても、それを支える土台――インフラ・制度・現場が追いつかなければ、成果は他国に吸い取られる。今回の「韓国離れ」はその典型であり、「創っても、届ける場所がない」というジレンマに直面している。

海外公演が拡大すること自体は、グローバル戦略として正しい。だが、“韓国に来なければ見られない価値”を構築できなければ、K-POPは“韓国の象徴”ではなく、単なる“輸出商品”になり下がる。

音楽は国境を超えるが、それを体験する場が“どこか他国”であるなら、文化の主導権は徐々に移っていく。それはやがて、「K-POPは韓国文化だ」というアイデンティティの希薄化につながりかねない。

「K-POPを見に日本へ行く」という構図が常態化すれば、韓国は“創る国”ではあっても“見せる国”ではなくなる。アーティストを通じて国家の価値を発信できるチャンスを、自ら手放すことになりかねない。この文化的空洞化は、観光産業だけでなく、国家ブランドそのものに傷を与える深刻な問題だ。

韓国政府と産業界は今、K-POPを単なる外貨獲得手段としてだけでなく、長期的な国家ブランド戦略の中核に据えるべき時期にある。地方アリーナの整備支援、規制緩和、会場運営者とのリスク分担制度など、具体的な構造改革が急務だ。

仮にこのまま国内の“空洞化”が進めば、K-POPは「世界の音楽」にはなれても、「韓国の音楽」としての説得力を失うだろう。そのとき、韓国は自ら育てた世界的資産の“地の利”を、取り戻すことができなくなるかもしれない。

K-POPが未来永劫“韓国の誇り”であり続けるためには、「母国でしか味わえない空間と体験」をどう設計できるかが最大の鍵だ。そのための制度的整備を怠れば、韓国の文化戦略は内側から崩れていく。今が正念場である。


【K-POP公演 韓国離れ に関する引用元↓】

NHKニュース「K-POP公演、韓国離れで経済効果流出」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250724/k10014451281000.html

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