石破首相、コメ増産と輸出拡大で転換
概要
2025年8月、石破茂首相は記者会見にて、日本のコメ政策を歴史的に転換する方針を正式に発表した。長年続けられてきた生産調整(いわゆる減反政策)を大幅に緩和し、主食用米の増産を本格的に推進する。
背景には、2025年に入ってからのコメ価格の急騰と国内需給の逼迫がある。政府は生産不足が主因と判断し、併せて輸出の拡大にも注力することで、国内外の需給安定を図る構えだ。
コメ価格高騰と政策転換の背景
農林水産省の統計によれば、2025年7月時点のコメの平均価格は前年比で約20%上昇しており、家庭用・外食産業の双方に影響が出ている。
主な要因は以下とされる:
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高温による収量減少
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農家の離農・高齢化
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生産調整政策による供給制限
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飼料米や加工用米への転作の拡大
石破首相は「もはや供給制限を続けていては国民の食を守れない」とし、“つくれる農家にはつくってもらう”体制への移行を明言した。
新方針の主な施策と支援内容
政府は、以下のような支援策・制度改革を打ち出している:
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主食用米の増産への交付金制度(生産量連動型のインセンティブ)
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水田フル活用政策:飼料用・備蓄用の兼用とし柔軟な作付け支援
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スマート農業技術導入支援:ドローン・水管理センサーの補助金
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環境配慮型農業(有機・減農薬)の導入条件付きで優遇措置
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輸出促進補助:アジア圏・中東市場向けの販路開拓と物流支援
これらを通じて、国内農家の増産意欲を喚起し、同時に「環境と経済の両立」を目指すとしている。
農業界・自治体・消費者の反応
全国農業協同組合連合会(JA全中)は、今回の発表を**「重要な方針転換」と評価しつつも、現場への影響を慎重に見極める必要がある」と表明**。
特に以下のような意見が上がっている:
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「規模の小さい農家には対応が難しい」
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「価格下落リスクへのセーフティネットが必要」
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「増産だけでなく、流通と販路の整備も不可欠」
一方、消費者団体や家庭向け流通業者からは、「米価の安定が見込まれるなら歓迎」「価格転嫁の抑制につながる」として、一定の期待感が示されている。
輸出強化の戦略的位置づけ
政府は、コメの輸出についても中長期的視点で強化を図る方針であり、特に以下の市場がターゲットとされている:
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台湾・香港・シンガポール:高価格帯のブランド米需要が根強い
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中東諸国:ハラール認証を取得した米の需要が拡大傾向
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欧州:環境基準に適合した農産品の販路開拓が進行中
農水省は、**2028年までに米輸出額を倍増(2024年比)**する目標を掲げており、輸出用ブランド米の育成・国際認証取得支援も制度化する見通しだ。
私の感想と考え
石破首相の発表は、戦後日本の農政において最も大胆な方向転換の一つだと感じる。
生産調整は時代に合わなくなりつつあり、コメの需要構造も“国内のみ”から“世界市場”を見据えたものへと変わってきている。今回の方針は、その変化を正面から受け止めた形だ。
しかし、政策転換はメリットとリスクを同時に孕む。農家が増産に転じても、需要がついてこなければ価格崩壊の可能性がある。過去には、米価の乱高下が農村経済を混乱させた例もある。
したがって、私は次の点が特に重要だと考える:
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需給調整メカニズムの再設計(フレキシブルな在庫・備蓄)
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マーケティング・輸出戦略の官民連携
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中小農家が排除されないための地域密着支援
また、環境配慮型農業との両立は、単なる掛け声ではなく制度設計・人材育成・収益構造を含めた包括的な取組でなければならない。
「農業は国の根幹」と言われて久しいが、それを“未来に通用する構造”として築き直すためには、今が最大の転換点である。
私は、今回の動きが一過性の価格対策にとどまらず、長期的視野で「強く、しなやかな日本農業」を構築する起点になることを期待している。
【引用元】
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首相官邸「石破首相 記者会見要旨(2025年8月5日)」
https://www.kantei.go.jp/jp/ishiba/press/20250805.html -
農林水産省「2025年度 コメ需給と政策見直しについて」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kikaku/kome/2025_review.html -
日本農業新聞「コメ価格高騰、首相が“増産で対応”明言」
https://www.agrinews.co.jp/p/news/20250805/rice-policy/